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2007.11.02 Friday

ホンダ　CR-XとCR-Z

四半世紀も前の事です、ホンダから前輪駆動の軽量スポーツカーが発売されました。　既に成功を収めていたシビックが初代モデルから大幅な変貌を遂げる３代目に代わる時、兄弟車として露払いの様に出現したそれは、それまでの前輪駆動車は実用車が採用するレイアウトという既成概念を覆す事となりました。　その車名はバラードスポーツCR-X。　バラードというのはベルノ販売チャネルが販売したシビックセダンの兄弟車の名前です。　そしてライトウェイトスポーツという言葉はこの時に誕生したものです。

ホンダならではのスムーズな４気筒エンジンながら、100馬力そこそこの出力しか持っていません。　しかし短いホイールベースと軽量低重心、なにより設計者が魂を込めていたのでしょう、ステアリングを握る者を試すような挙動を示すこの車は本当に素晴らしいスポーツカーでした。　

タイアも14インチ、リアブレーキはドラム。　カム駆動はシングル、しかし、その力を振り絞れるという意味では先日ご紹介したNISSANGT-Rより心躍るマシンという考えもあるといえませんでしょうか。

当時ライミンではこのモデルのオーナーが数多くおられました。　この次のサイバーCR-Xと呼ばれたモデルも含めると片手では数えられない方が乗り付けていただきました。　その中には、私の「口車」に文字通り乗ってしまった方々がおられます。

兄弟車のワンダーシビックも素晴らしい車でしたが、私はCR-Xが大のお気に入りです。　シビックの方が実用性に優れているのは重々承知していましたが、あれやこれやと説得してはCR-Xの契約書にハンコを押す手伝いをしていました。　別に自分の商売だった訳ではないのですが、、。家庭の車として息子さんが購入するケースが多かったものですから、その後に家族から苦情が出た事は疑う余地もありません。　何しろホンダ自らリアシートをワンマイルシートと呼んでいたほどです。　ワンマイルとは距離を示します。　1,6キロ位なら我慢できるだろうという意味です。　事実アメリカ仕様にはリアシートは装備されていません。　そこは物置でした。　人によっては犬も参るからワンマイルというほどのスペースです。

そんなCR-Xですが、専門誌の評価はすこぶる高く、同時期にトヨタから発売されたミッドシップ（スポーツカーしか採用し得ないレイアウト）のMR2よりスポーツカーであると評されています。　海外での評価は日本のそれより高かったかもしれません。　かのポールフレール氏は２代に渡って所有したと記憶します。　モナコのショールームではフェラーリの隣に展示されていたとも。

あの時CR-Xを買って、家族に嫌みをいわれた人たち。　今となっては「良かった」と思い出していると信じます。　あの時、平凡なセダンを買っていたら、、思い出す事もないかもしれません。

これは東京モーターショウでホンダが発表した次期CR-XともいえるCR-Zです。　ハイブリッドシステムとも聞きますが、このデザインは正に四半世紀を超えてやってきたCR-Xです。　もともとアルファSZをモチーフにしたともいわれていますが、そのSZの血すら感じさせるオーラがあります。　実際に購入する車には４枚のドアやラゲッジスペースが必要なのですが、魂を揺すぶられるような気持ちです。　おそらく価格も現実的なものでしょうから。　NISSANGT-Rがミラジョボビッチだとすれば、CR-Zは会社や学校で一番かわいいといわれるガールフレンド。　おつきあいするのに現実味があります。乗用車と生身の女性を同列に並べるのは失礼とは思いますが、ご容赦くださいませ。

因にあの時のCR-Xは一台だけ現存しています。　今でもたまに現れます。　古くないといえば嘘になりますが、格好よさは健在です。　ビートもCR-Xも格好良いです。　所有されている方々は出来るだけ大切に乗り続けて下さいね。

| 車 | 00:59 | comments(0) | - |

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