2006.06.03 Saturday
ポール・サイモン サプライズ その2
昨日の続きと、先週の続きを兼ねて、ポール・サイモン サプライズ その2をお届けします。6月2日付け朝日新聞夕刊・今月の10枚に、写真付きで紹介されていました。 SURPRISE皆さんの中で購入された方はおられるでしょうか? ライミンではヘビーローテーションです。 全体を通して言えることは、「リズム・オブ・ザ・セインツ」「ユー・アー・ジ・ワン」「サプライズ」と、緻密なサウンドが続いているなと。 S&G時代から、録音自体、機器自体に興味を持っていた人ですから、音作り自体は緻密であったわけですが、この3枚は、SP(スピーカー)で聴く時とヘッドフォンで聴く時との印象が異なるんです。 もちろん、SPでも真ん中に座って程良い音量で聴けば、また違うのでしょうが。 仕事中にBGMとして聴いている時より、しっかり聴く時の方が印象が良いです。 全体でも45分余り。 これは以前、ポール自身が語っていた「人間の集中力には限度がある、2~3分だね。」に起因する伝統ですね。 初期のアルバムは30分前後で構成されていました。 伝統といえば、イントロです。 「アイ・アム・ア・ロック」「早く家に帰りたい」「アメリカ」「スカボロ・フェアー」枚挙にいとまがありません。 多くの人が、ちあきなおみの「喝采」と間違える「母と子の絆」も忘れてはいけませんね。 今回収録された曲の中には、それほどキャッチーなイントロはありませんが、1曲目のロック調ギターは、充分サプライズと言えるかもしれません。もちろん、ポールといえば生ギターです。 今回の作品にも丁寧な演奏が収録されています。アルバム・ケープマン収録の「キャン・アイ・フォーギブ・ヒム」の様な生ギター1本はありません。 しかし、65歳を越え、以前のような筋肉も無くなり(欧米人として例外的に低身長の彼は、そのコンプレックスからか、マッチョ指向であったと思われます)、身体全体を脂肪がうっすらと覆うようになっているはずです。 その身体で優しくギターを包み込んで、とても丁寧に弦を弾いています。 それは、どの曲でも。どの曲でも。 一聴すると激しい感じの曲でも、丁寧なギターが歌っています。7曲目では、曲調から想像しづらいガットギターが聞こえます。
これも楽しみと、日本盤を買って、訳詞を楽しみました。 以前、NHKBSの特番でアルバム「グレイス・ランド」をポール自身が解説する番組がありました。 その中で彼が言うには、「まず、メロディ。 詩は後。」 俄に信じられませんでした。 時に哲学的、時に字余りな彼の曲がメロディファーストだとは。 それにしても、充分、歌詞を楽しめる内容であることに疑う余地はありません。 こちらの根気が続きませんので、一曲ずつの感想は割愛します。
一つだけ語るなら、一曲目では記憶にも新しいニューオーリンズをおそった洪水について歌われています。 グレイス・ランドの舞台ですし、アルバム「ひとりごと」にも彼の地を歌った曲がありますね。 時を同じくして発売された「E.コステロ A.トゥーサン/ザ・リバー・イン。リバース」も同地の洪水を取り上げた物らしいです。現在、ヘッドフォンで「サプライズ」を聴きながら書いていますが、改めて良いですね。 ヘッドフォンの方がS、ガッドのドラムもいいし、ジェシー・ディクソン・シンガーズのコーラスも良い。
イーノの音場デザインというのも判るような気がします。 念仏唱法のポールの歌声も、意外と若いですね。 もともと念仏なので、アート・ガーファンクルよりは年齢による衰えが気にならないのかも。 最後の曲に入っている、ポールの息子の歌声もヘッドフォンの方がよく分かりました。 あぁ、良いヘッドフォンが欲しくなってきました。ポール・サイモン・サプライズ・その1へCDの帯に付いていた「まだまだ歌いたい歌があるんだ!」いいですね。 もっと作ってくれ。 もっと、歌ってくれ。