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2018.07.02 Monday

桂歌丸さんの訃報

一昨年の11月　歌丸師匠の高座を拝聴する機会に恵まれました

入れ替えなしの末広亭ですので、夜の部が終わる前に入りましたが　既に立ち見状態でした。

しかし流石は末広亭、場内を回すお姉さんが「あの方たちは団体客だから次の高座でお帰りになります、ここで待って、すっと入れ替わってくださいね」と差配してくださいました。

その御蔭で　それからの数時間は座って楽しむことができます。

入れ替わり立ち代わりの寄席の高座ですが、歌丸さんが舞台に上る前にはいったん緞帳がさがります。　

お一人では歩けない状態だったのでしょう。

幕が上がると、座布団の上にちょこんと。

仰らなければわからないのに

「実は座椅子を当てております　お恥ずかしいことです」

軽妙な枕から　入る話は「紙入れ」

躊躇する若者、色っぽい女将さん、男気はあるがぼんやりした旦那さんすべての役を　綺麗に演じる歌丸さん。

なにより、その日の演者さんのすべてと比べて、イチバン声が通ることイチバン声量があるように思えたことが思い出です

中入り前の師匠が

「今日はいっぱいだけど、みなさんトリの歌丸師匠目当てでしょ？　　もう次は無いかも、最後かもって来たんでしょ？でもね、あの師匠　元気だよ。　この10年ずっと　あんな感じで商売してるんだ」

客席は笑いに包まれますが、皆さん　心の何処かで今日が最後かも　って　ね。

つい先月のこと　歌丸さんは一線を退く形で　三遊亭小遊三さんが会長を代行なさっていく形になったばかりです。

立つ鳥跡を濁さず　ご自身の引き際をわきまえておられました。

なぜ歌丸さんが人間国宝になっておられないのか　不思議でなりません。

笑点の歌丸さんだけをご存知とおっしゃる方にお伝えしたい

凄い噺家さんだったんですよ　桂歌丸　色気も凄みも　優しさも厳しさも兼ね備えた凄い噺家さんでした。

ご冥福をお祈りします。