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2006.02.20 Monday

イリヤッド　入矢堂見聞録

中高学生時代の歴史の授業は散々でした。　コツコツと板書してそれをノートに写せと命令する教師。　教科書を読むだけの教師。　自分の政治信条を語るだけの教師。　ただ、仕事をこなすだけといった風情の教師。

人のせいにしてはいけないかもしれませんが、歴史は嫌いです。興味がありませんでした。　なのに、いわゆる歴史物といわれる映画や漫画が面白いのは何故？　アラビアのロレンスもキングダムオブヘブンも独眼流正宗も太平記も面白かった。

イリヤッドはビックコミックオリジナルに連載中の歴史コミックです。謎のアトランティスを巡るお話です。

私としてはアトランティスの謎にはあまり興味がわきません、実は。

で、なにが面白いのか？というと。　主人公、入矢修造はイギリスでアーサー王の墓について異端の説を唱え。考古学会を追放され、日本に帰り骨董屋を営む。　彼の周りを取り巻く日本の人々。　それらとは違う世界に住む人たち。　アトランティスの謎に近づく者達を静かに暗殺する山の老人を呼ばれる集団。　それに対する正教会に属する酔いどれ神父。　入矢を助ける考古学者や用心棒。色々な登場人物がいますが、多くは自分自身に問題を抱えています。　

私が思うに、作者はアトランティスの謎などはどうでも良いのだが、それを軸とし物語を描いていく中で登場人物、一人一人を語ることに興味があるのではないか？

山の老人に属する老神父（暗殺者）が、人を殺そうとする前にある少年に靴を磨かせるエピがありました。　手元に単行本が無いのでうろ覚えなんですが、靴に星が映るほど磨く事を教えられた少年の話を聞いた神父が暗殺を躊躇います。　以前、自分の間違いから妻子を目の前で亡くした事から涙を流すことが出来なくなった暗殺者が、涙を流すことを思い出し、自ら命を差し出し入矢を助ける。　親より人生を知る少年が、世間知らずの父親を泣きながら諭す。

色々な人々が色々な人生をさらけ出します。　歴史に興味がある方はもとより、私のような人間でも楽しめる「イリヤッド」お勧めできます。

| 漫画 | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

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